ななつの嵐山WEB MAGAZINE

コラム2019.04.09

平安時代の「桜の宮」は今も桜の名所

春の嵐山は今年もあちらこちらで桜が咲き誇り、私たちの目を楽しませてくれました。

まだ肌寒い日が続く頃、嵐山にいち早く春の到来を告げてくれたのは、車折神社の早咲き桜です。車折神社の境内では、3月上旬頃には河津桜をはじめとする早咲きの桜が開花し、4月上旬にかけて15種40本ほどの桜が順次見頃を迎えます。

「約束を違えないこと」にご利益が

そんな車折神社の御祭神は、平安時代後期の貴族であり儒学者の清原頼業(きよはらのよりなり)。その一族には、平安時代の和歌の名人である三十六歌仙の一人・清原元輔やその娘の清少納言の名前も見られます。車折神社の境内には芸能・芸術の神様を祀る「芸能神社」もあり、タレントや文化人などから奉納された朱塗りの「玉垣」がお目当てという参拝者も多いですね。

 

清原頼業は、朝廷の最高機関である「大外記(だいげき)」の職を24年間も務め、九条兼実から「その才、神といふべく尊ぶべしと」と称えられたほど。そのご神徳は「約束を違えないこと」として、商売や恋愛など、様々な場面で「約束や契約が、正しく守られる」ことを願う人々から信仰されています。

かつての「桜の宮」に咲く数々の桜

清原頼業は、生前、桜をことのほか愛したと言われます。亡くなった後には、現在地に設けられた廟の周辺にたくさんの桜が植えられ、「車折神社」と称する以前は、「桜の宮」と呼ばれていたそうです。

早咲きの桜のあとは、3月中旬に寒緋桜や山桜が、また3月下旬には明治から昭和初期にかけて活躍した日本画家・冨田溪仙が奉納した枝垂れ桜の「溪仙桜」が満開となります。

さらにお楽しみはその後も。4月下旬には桜餅のような匂いのする遅咲きの「匂い桜」を見ることができます。平成から新しい時代への節目となる今年の春も、ここは平安時代と同じ「桜の宮」。悠久の時の流れを感じながら、様々な桜を楽しんでみてはいかがでしょう。

 

<本文監修>

観光ガイド「京都旅屋」代表   吉村晋弥   プロフィール>