ななつの嵐山WEB MAGAZINE

コラム2019.05.21

小倉餡のルーツは小倉山の山麓に

羊羹、ぜんざい、あんみつ…おいしい和の甘味に欠かせないものといえば「餡」。餡を挟んだコッペパンや、餡を塗った小倉トーストもおいしいものです。……ここでお気づきでしょうか、餡を塗ったトーストに「小倉」の名が入っていること。これは”小倉山”から生まれた言葉なのです。

平安時代にこの地で生まれた餡

炊いた小豆に砂糖を加えて作る餡。材料となる小豆は、縄文時代から古墳時代にかけての遺跡に炭化種子が発見されているほど古くからあります。小豆の赤い色には魔除けの力があると信じられ、儀式などにも使われてきたそうです。そんな小豆を用いて餡が作られたのは平安時代のこと。

言い伝えによれば、820年頃、小倉の里には”亀の甲せんべい”を作る和三郎という菓子職人がいました。和三郎は、中国で学んだ僧・空海が帰国の際に持ち帰った小豆の種子を栽培し、そこで採れた小豆に御所から下賜された砂糖を加えた餡を作り、御所に献上したと言います。

さらに和三郎によって、洛西などで小豆が作られるようになるように。こうした経緯もあり、小倉の里で作られた小豆から作られる餡に”小倉”の名がついたのでしょうか。

二尊院には小倉餡にちなんだモニュメントも

また、小豆を煮た際にできる粒餡の文様が、紅葉に縁のある鹿の文様に似ていることから、小倉百人一首のひとつで小倉山の紅葉が歌われた『小倉山峯(みね)のもみぢば心あらば今ひとたびのみゆきまたなむ』に掛けて、粒餡を小倉と呼ぶようになったという説も。

いずれにしても、餡のはじまりが小倉の里であることは間違いないようです。二尊院には、八ツ橋の製造販売会社により建立された小倉餡発祥の地の碑やモニュメントがあり、落柿舎の近くにもその由来の説明板があるので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょう。

 

さて、和菓子のルーツを訪ね歩いた後のひと休みは、やはり和の甘味で。渡月橋北詰の「嵐山おぶう」なら、パノラマのような眺めとこだわりの和スイーツをお楽しみいただけます。

 

<本文監修>

観光ガイド「京都旅屋」代表   吉村晋弥   プロフィール>