ななつの嵐山WEB MAGAZINE

コラム2018.09.25

嵐山の朝を見つけにいく

「いつ行っても観光客が多く、お店も混んでいてゆっくりできない」。嵐山に限らず、京都の観光地へ出かけるとそう感じることが多いのでは。かといって人があまり来ない=見所が少ない場所や時期に出かけるのは…と思いますよね。

嵐山の地の利は「朝」にある

嵐山の航空写真を眺めると、南に電車や幹線道路が走り、北と西に小倉山を始めとする山並みが連なっており、東に向かって開いていることがわかります。このため朝から昼にかけて太陽の光がまんべんなく差し込み、のどやかな嵐山の景色を隅々まで照らします。

山々が間近に迫ってくる東山にくらべ、山並みを遠景として眺める嵐山の風景は、この朝方のおだやかに広がる光にとてもよく「映える」んです。早朝から、寺社やお店がオープンし始める9時ごろにかけての時間帯は人も少なく、竹林を渡る風に耳を傾けたり、人の写り込みを気にせず写真を撮ったり、静かな時間を過ごすには最適です。

愛宕山の山霞、そして雲

嵐山の朝が美しいのは、お天気のよい日だけではありません。朝方の雨のあと愛宕山にうっすらと山霞がたなびき、平安時代を思わせる雅な場面に出会うこともあります。

頂上に愛宕神社を戴く愛宕山は古くから信仰の山として崇められてきましたが、こんな諺をご存知でしょうか。

「稲荷詣(いなりもうで)に愛宕詣(あたごもうで)」

これは「雲が南(伏見稲荷大社)へ流れていたら晴れ、反対の西(愛宕神社)へ流れていたら雨」という意味。雲の動きで天気をうらなった昔の人は、雲が神社へお参りする(詣でる)となぞらえたんですね。

 

早朝なら「渡月橋から眺める日の出」

朝、それも日の出前の時間に嵐山を訪れることができるなら、渡月橋から昇る朝日を眺めてみてください。桂川の水面をゆっくりと照らし、山々へと静かに広がっていく陽の光が観光地としての嵐山ではないもうひとつの顔を垣間見せてくれます。

台風21号の強風のため、渡月橋の東側の欄干(全長155メートル)が約100メートルにわたって倒れてしまいました。猛烈な風にあおられ、木組みで固定された柱が外れてしまったそうです。京都市の発表によると部材の損傷は思ったよりも少なかったとのこと。復旧時期は未定ですがちょっと安心しました。

 

京都は朝晩、涼しくなってきました。

いつもよりちょっと早起きして、夏の終わりの嵐山をゆっくりじっくり散策してみてください。

 

<本文監修>

観光ガイド「京都旅屋」代表   吉村晋弥   プロフィール>